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審査講評

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審査講評

「第65回伊勢神宮奉納全国花火大会」審査講評

審査委員長 東京大学名誉教授 田村昌三

はじめに

 第65回伊勢神宮奉納全国花火大会の審査委員長を務めさせていただき、光栄に思っている。今回の大会は天候にも恵まれ、ほどよい風が吹く絶好の花火打上コンディションのもと、最後まで事故もなく無事に行われ、伊勢神宮奉納全国花火大会にふさわしい素晴らしい大会であった。

 花火師の皆様の本大会にかける平素からの研究と技術開発に対する並々ならぬご努力に対して、また、本大会の企画・運営に当たられた主催者・関係者の皆様の一方ならぬご尽力に心から敬意を表する次第である

 私は今回が11回目の審査になるが、伊勢の花火大会は、日本のトップレベルの花火師による高レベルの技術を競う素晴らしい大会になってきていると思っている。

 今年は曲導付割物10号1発と創造花火5号3発からなる打上花火40組とスターマイン10基による競技が行われた。

審査結果

打上花火

 10号割物については、今年も多重芯への挑戦が多くみられた。五重芯、四重芯および三重芯に挑戦した作品がそれぞれ3作品(昨年3作品)11作品(昨年13作品)および16作品(昨年16作品)あり、完成度の高い作品が高い評価を受けていた。また、今年は新しい型の花火やグラデーションに素晴らしい作品があった。

 創造花火については、色彩、配色等花火の基本がしっかりし、種々の観点から創造性に挑戦し、演出に成功した作品が高い評価を受けていた。一方、今回は八重芯に挑戦した作品がかなりあった。5号玉での八重芯の演出は困難な技術への挑戦ではあるが、創造花火としては、新しい花火の創造への挑戦を期待したい。

 打上花火について総合的に見ると、上位に入賞した作品は10号割物、創造花火ともいずれも優れた作品である。その中にあって、優勝した(株)北日本興業の作品は5号、10号とも色彩、形状の点からも素晴らしい孔雀であった。また、準優勝した(株)小松煙火工業の作品は5号の翠瑛華の色彩、形状、10号の5重芯の完成度、同じく準優勝のアルプス煙火工業(株)の作品は5号の宝石の色彩、形状、10号の四重芯の完成度が高い評価を受けていた。また、(株)斉木煙火本店の5号、10号とも虹色のグラデーションも素晴らしい作品であった。

 (株)小松煙火工業は第62回、第63回に次いでの今回の準優勝であり、安定した力量に敬意を表したい。

 保安審査については、10号割物については減点対象の作品はなく、5号の創造花火については、星の地上落下等で40組の作品中3作品が若干の減点対象となった。安全の確保への努力が見られ、大変結構である。

スターマイン

 スターマインについては、個々の花火が花火の基本である色彩、配色、形状等が優れ、音楽をバックに打上げられた花火の起承転結のストリー展開がよく、総合的に名称をうまく表現したものが高い評価を受け、上位に入賞しているように思われる。

 優勝した(株)マルゴーの「JAPONISM」はストーリー展開の素晴らしさに加え、個々の花火の色彩、配色、形状が特に素晴らしかった。また、準優勝の(有)伊那火工堀内煙火店の「強く、そして美しく・・・」は迫力ある演出が評価されたのであろう。

 (株)マルゴーは第63回優勝、第64回三位、そして今回優勝、また、(有)伊那火工堀内煙火店は第62回優勝、そして今回の準優勝とそれぞれ安定した力量に敬意を表したい。

 保安審査については、10作品中5作品が星の地上落下等で若干の減点対象となった。スターマインの場合、星の地上落下を防ぐことは困難な面もあるが、決してできないことではない。安全あっての花火であることを考えると、是非、全作品の減点なしを目指したいものである。

特別賞

 特別賞の規定は、「打上花火の部、スターマインの部の優勝者のうち、総合的に審査し優れた部門の優勝作品」に国土交通大臣賞を、「もう一方の優勝作品」に観光庁長官賞を授与することになっている。今年は、スターマインの部の優勝者である(株)マルゴーに国土交通大臣賞を、打上花火の部の優勝者である(株)北日本花火興業に、観光庁長官賞を授与することとした。

おわりに

 今回の大会も、全般的に安全面への配慮もなされ、国土交通大臣賞、観光庁長官賞をいただく日本トップレベルの技術を競う大会であったといえる。

 素晴らしい花火により多くの人に夢と感動と明日への勇気を与えていただいたことに心から感謝申し上げる。

 花火師の皆様方には、今年の成果を基にさらなる技術の深化に努められ、来年はさらに立派な花火をご披露いただくことをお願いするとともに、この「伊勢神宮奉納全国花火大会」がますます発展することを祈念して講評とする。

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