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審査講評

審査講評

「第66回伊勢神宮奉納全国花火大会」審査講評

審査委員長 東京大学名誉教授 田村 昌三

はじめに

 第66回伊勢神宮奉納全国花火大会は、天候にも恵まれ、ほどよい風もある絶好の花火打上コンディションのもと、最後まで事故もなく無事に行われ、素晴らしい大会であった。

 これも花火師の皆様の本大会にかける平素からの研究と技術開発に対する並々ならぬご努力と、本大会の企画・運営にあたられた主催者・関係者の皆様の一方ならぬご尽力によるもので、いつもながら心から敬意を表する次第である。

 私は今回が12回目の審査になるが、伊勢の花火大会は、日本のトップレベルの花火師による高いレベルの技術を競う素晴らしい大会になってきていると実感している。

 今年は例年と同じく、曲導付割物10号1発と創造花火5号3発からなる打上花火40組とスターマイン10基により競技が行われた。

審査結果

打上花火

 10号割物については、今年も多重芯への挑戦が多くみられた。五重芯、四重芯および三重芯に挑戦した作品がそれぞれ1作品、13作品および13作品あり、(株)山﨑煙火製造所の五重芯、(有)篠原煙火店の四重芯等は完成度の高い作品で、高い評価を受けていた。また、今年も昨年同様新しい型の花火やグラデーションに素晴らしい作品があった。

 創造花火については、色彩、配色等花火の基本がしっかりし、種々の観点から創造性に挑戦し、演出に成功した作品が高い評価を受けていた。一方、今年は三重芯や昨年同様八重芯に挑戦した作品がかなりあった。5号玉での三重芯や八重芯の演出は技術的には困難ではあるが、新しい花火の創造への挑戦を期待したい。

 打上花火について総合的に見ると、甲乙つけがたく、いずれも素晴らしい作品が多かった。その中で上位に入賞するためには、10号割物、創造花火ともいずれも優れた作品である必要がある。優勝した(株)齊木煙火本店の作品は虹色のグラデーション、準優勝の(株)北日本花火興業の作品は星の結晶、本家神田煙火工業(有)の作品はWアトミックが色彩、形状の点からも素晴らしい作品で、高い評価を受けた。(株)齊木煙火本店は第62回優勝、第60回、および第64回準優勝に次いでの今回の優勝であり、また、(株)北日本花火興業は第65回優勝に次いでの今回の準優勝、本家神田煙火工業(有)は第59回優勝に次いでの今回の準優勝であり、いずれも安定した力量に敬意を表したい。

 保安審査については、10号割物については減点対象の作品はなく、5号の創造花火については、星の地上落下等で40作品中の3作品が若干の減点対象となった。安全の確保への努力が見られ、大変結構である。

スターマイン

 スターマインについては、個々の花火が花火の基本である色彩、配色、形状等に優れ、音楽をバックに打上げられた花火の起承転結等のストーリー展開がよく、名称をうまく表現したものが高い評価を受け、上位に入賞しているように思われる。

 優勝した髙木煙火(株)の作品はアイデアの面白さが高い評価を受け、準優勝の(有)伊那火工堀内煙火店の作品は花火の基本、ストーリー展開が評価されたと思われる。また、3位の(株)マルゴーの作品は花火の基本、ストーリー展開は素晴らしいものがあったが、星の落下等による減点が惜しまれる。

 髙木煙火(株)は第65回3位に次いでの今回の優勝、(有)伊那火工堀内煙火店は第62回優勝、第55回、第56回、第58回、第59回、第65回準優勝に次いでの今回の準優勝、(株)マルゴーは第58回、第63回、第65回優勝、第60回、第61回準優勝に次いでの今回の3位であり、それぞれ安定した力量に敬意を表したい。

 保安審査については、10作品中8作品が星の地上落下等で若干の減点対象となった。スターマインの場合、星の地上落下を防ぐことは困難な面もあるが、決してできないことではない。安全あっての花火であることを考えると、是非、全作品が減点なしを目指して欲しい。

 また、今年は1作品が2分30秒の打上時間超過で減点となった。スターマインは一定の打上筒から一定の玉数を所定の打上時間内で打上げ、その演出を競う競技であるので、打上時間は守って欲しい。

特別賞

 特別賞は、「打上花火の部、スターマインの部の優勝者のうち、総合的に審査し、優れた部門の優勝作品の出品者」に国土交通大臣賞を、「もう一方の優勝作品の出品者」に観光庁長官賞を授与することになっている。今年は、スターマインの部の優勝者である髙木煙火(株)に国土交通大臣賞を、打上花火の部の優勝者である(株)齊木煙火本店に、観光庁長官賞を授与することとした。

おわりに

 今回の大会も、安全面への配慮もなされ、日本トップレベルの技術を競う素晴らしい大会であった。

 花火の皆様、主催者、関係者の皆様のご尽力により、多くの人に夢と感動と明日への勇気を与えていただいたことに心から感謝申し上げる。

 花火師の皆様には、今年の成果を基にさらに技術の進展に努められ、来年はさらに立派な花火をご披露いただくことをお願いするとともに、この「伊勢神宮奉納全国花火大会」がますます発展することを祈念して講評とする。