教育民生委員会視察報告
令和7年度
日程
令和7年5月19日(月曜)~5月21日(水曜)
視察先及び目的
5月19日(月曜)東京都北区 滝野川稲荷湯
「稲荷湯修復再生プロジェクトについて」
5月20日(火曜)新潟県長岡市 アオーレ長岡
「部活動の地域移行について」
新潟県長岡市 ミライエ長岡
「図書館の運営について」
5月21日(水曜)埼玉県鴻巣市
「ICTを活用した学校教育の取組について」
概要
東京都北区 滝野川稲荷湯
「稲荷湯修復再生プロジェクトについて」
視察項目:稲荷湯修復再生プロジェクトについて
古くは江戸時代から庶民のコミュニティスペースとして機能してきた銭湯ですが、家風呂の普及などにより廃業が進み、伊勢市をはじめ全国的にも急速に減少してきています。東京でも再開発の圧力や客数の減少、後継者不足、施設・設備維持費の高騰など、様々な要因により、存続は厳しいものとなっています。そのような中、一般社団法人せんとうとまちでは、銭湯の社会的価値に注目し、銭湯と銭湯のあるまちの持続可能なあり方を研究しており、活動の中で東京都北区にある滝野川稲荷湯に出会い、同施設を国の登録有形文化財に申請し、認定を受けました。さらに、資金面の支援を受けるべく、世界の危機的遺産への支援を行う「ワールド・モニュメント財団」へアプローチを行い、関連してアメリカン・エクスプレスからの支援を受けることにより資金面の援助があったことで、稲荷湯に隣接する長屋を再生することが可能となり、地域の憩いの場を再生するなどの活動をすることができました。視察当日は、法人の代表者からこれまでのプロジェクトについて説明を受けるとともに、稲荷湯の見学を行いました。

概要
新潟県長岡市 アオーレ長岡
「部活動の地域移行について」
視察項目:部活動の地域移行について
令和4年12月、スポーツ庁及び文化庁において「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」が策定され、令和5年度から令和7年度の3年間を改革推進期間と位置づけ、休日における学校部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行が打ち出されました。全国的に生徒数減少による廃部や活動の縮小、また、実践経験のない教師が部活動を指導しなければならない状況になっている事例などがあり、部活動が教員の長時間労働の要因の1つになっていることも課題となっています。長岡市においても、少子化の進行など従前と同様の体制で運営することが難しくなってきており、全国に先駆け、令和7年8月をもって市立中学校の休日の部活動を終了し、子どもたちが学校の枠などにとらわれず、自由にスポーツや文化芸術活動ができる地域クラブ活動に移行させる計画となっています。これまで同様、子どもたちの自主性・自発性に基づく体験・交流を通した多様な学びの場として主体性や協調性などの人格形成を目的とした教育的意義を継承し、発展させるものであり、子どもたちの心身の健全育成を目的としています。視察当日は、これまでの経緯や今後目指していく方向性について、説明を受けました。

概要
新潟県長岡市 ミライエ長岡
「図書館の運営について」
視察項目:図書館の運営について
長岡市では、市町村合併時から存続している図書館9施設を現在も残しながら、各館独自の機能性を持たせ、分館・分室として活用、各分館・分室に、資料収集をはじめとしたテーマ性を持たせることで、特色ある図書館運営を行っています。今回視察した互尊文庫は、令和5年に開館した施設であり、長岡駅前複合施設ミライエ長岡の3階から5階に位置します。これまでは中央図書館が市民の利用の中心でありましたが、互尊文庫は立地の良さから自動車免許を持たない若年層の利用者を取り込んでいます。館内ではふた付きの飲み物、軽食の飲食が可能で、図書館エリアを含め館内での会話が可能となっていることから、これまでの一般的な図書館とは機能が異なることや、加えて無料Wi-Fiが完備されていることもあり、若年層の利用促進に繋がっているようです。視察当日は、担当者からの説明を交えながら、施設内の見学を行いました。

概要
埼玉県鴻巣市
「ICTを活用した学校教育の取組について」
視察項目:ICTを活用した学校教育の取組について
鴻巣市では、令和元年に「鴻巣市学校教育情報化推進計画」を策定、令和6年度までの5か年計画を終え、現在2期目の途中です。計画では、ICT機器の活用により、新しい時代で活躍するために必要な資質、能力を育成することを基本理念としています。小学校16校、中学校8校においては、端末のOSはWindowsを、クラウドはMicrosoft Azureを使用。子どもたちがICT機器を文房具のように使える姿をコンセプトに、児童生徒と教職員の利用のしやすさを考えた環境の実現をしてきました。教職員にとっても時間や場所を選ばず作業ができることで、時間の有効活用が可能となり、シームレスでスマートな働き方が生まれてきました。その結果、業務効率化や質の向上などの効果もあり、子どもと向き合う時間が増えたとの声が多数挙がっています。子どもたちは独自に動画編集やofficeソフトなどを活用し、自分たちでデジタル作品を作成、披露し、互いに共有することで個々のスキルアップを図っています。視察当日は、担当から事業の概要や成果について、説明を受けました。

令和6年度
日程
令和6年5月20日(月曜)~5月22日(水曜)
視察先及び目的
5月20日(月曜)静岡県静岡市
「脱炭素先行地域づくり事業について」、「カーボンニュートラルの取り組みについて」
5月21日(火曜)埼玉県戸田市
「戸田型オルタナティブプランについて」
5月22日(水曜)東京都三鷹市 三鷹市福祉Laboどんぐり山
「三鷹市福祉Laboどんぐり山について」、「高齢者福祉について」
概要
静岡県静岡市
「脱炭素先行地域づくり事業について」、「カーボンニュートラルの取り組みについて」
視察項目:脱炭素先行地域づくり事業について、カーボンニュートラルの取り組みについて
静岡市では、令和2年に2050年温室効果ガス排出実質ゼロを宣言し、市民、事業者、行政が一体となり、温室効果ガス排出実質ゼロに向け、各種取組を進めています。全国に先駆け、国の脱炭素先行地域に指定され、民生部門の電力消費に伴うCO₂排出の実質ゼロを実現するモデル地域となっています。市内の3地区(清水駅東口エリア、日の出エリア、恩田原・片山エリア)において地元民間企業と連携し、地区におけるオフィス、工場、倉庫等に太陽光、蓄電池等を導入することで地域マイクログリッド(エネルギーの地産地消)を形成しており、不足する再エネ電力を都市部や山間部から調達し、電力消費に伴う実質ゼロを達成しています。視察当日は、事業の経緯・概要をはじめ、期待される効果・課題について説明を受けました。
概要
埼玉県戸田市
「戸田型オルタナティブプランについて」
視察項目:戸田型オルタナティブプランについて
戸田市の教育は、学力は県内トップクラス、非行問題は極めてまれになってきましたが、不登校は依然として増加傾向にあり、独自の施策「戸田型オルタナティブプラン」を掲げて、対策に取り組んでいます。オルタナティブとは、「代替の」や「新たな」という意味があり、「子どもたちに新たな居場所を」という願いが込められています。不登校児童は、何らかの相談や支援を受けていない(どことも繋がっていない)子供が少なくなく、戸田市の施策は、学校を「楽しいこと、やりたいことがたくさんあり、安心して学べる場所にしたい」という理念が根幹にあります。授業では、電子黒板や3Dプリンタ等のICT機器の活用による魅力ある学校づくり、多様な学び場(オンライン、メタバース、校内サポートルーム等)の選択肢を設けています。視察当日は、事業の概要をはじめ、期待される効果や教育委員会としての決意について説明を受けました。
概要
東京都三鷹市 三鷹市福祉Laboどんぐり山
「三鷹市福祉Laboどんぐり山について」、「高齢者福祉について」
視察項目:三鷹市福祉Laboどんぐり山について、高齢者福祉について
三鷹市福祉Laboどんぐり山は、令和2年に廃止された三鷹市立特別養護老人ホームどんぐり山の施設の利活用として、住み慣れた地域で暮らしたいというニーズに応える地域づくりのために、高齢者の在宅生活を支える拠点として開所された施設です。企業や大学等と協働して研究・サービス開発を支援する「在宅医療・介護研究センター」、介護人財(三鷹市では全庁的に人材は宝=財と意味を込めて、人材ではなく人財の字を使用)の育成と市内事業者の支援に取り組む「介護人材育成センター」、これらの実践・実証の場であるとともに介護保険外の独自サービスを行う「生活リハビリセンター」の3つの事業を行っており、3つの事業が有機的に連携しながら、技術や知識を地域へ還元する取組を行っています。視察当日は、事業の概要について、説明を受けるとともに、施設内を巡回・見学し、各場所において個々の担当から説明を受けました。
令和5年度
日程
令和5年5月15日(月曜)~5月17日(水曜)
視察先及び目的
5月15日(月曜)神奈川県大和市 大和市文化創造拠点シリウス
「学校図書館の運営について」、「大和市文化創造拠点シリウスについて」
5月16日(火曜)茨城県小美玉市 霞台クリーンセンターみらい
「環境・資源循環に配慮したごみ処理施設の運営について」
5月17日(水曜)東京都足立区
「就学前の子育て支援について」、「マイ保育園制度について」
概要
神奈川県大和市 大和市文化創造拠点シリウス
「学校図書館の運営について」、「大和市文化創造拠点シリウスについて」
大和市では、文化創造拠点シリウスを中心とし、図書サービス、読書に関する事業の開催、市内各所での図書返却ポストの設置等に学校の取り組みを合わせ、市内全域に渡って「図書館城下町」を旗印として、本や読書にかかわる施策の充実を図っています。文化創造拠点シリウスは、大和市立図書館、芸術文化ホール、生涯学習センター、屋内こども広場等、複数の機能が融合した新しいタイプの公共施設であり、共同企業体「やまとみらい」(株式会社図書館流通センター、サントリーパブリシティサービス株式会社、株式会社小学館集英社プロダクション、株式会社明日香、株式会社ボーネルンド、横浜ビルシステム株式会社)を指定管理者として運営されています。視察当日は、こどもの読書環境に向けた取り組み、図書返却システムの運営、ブックスタート事業等について説明を受けるとともに、職員の案内の下、文化創造拠点シリウスの施設見学を行いました。
概要
茨城県小美玉市 霞台クリーンセンターみらい
「環境・資源循環に配慮したごみ処理施設の運営について」
霞台厚生施設組合は、茨城県小美玉市に位置し、石岡市、小美玉市、かすみがうら市、茨城町を構成市町としています。霞台クリーンセンターみらいは、施設の愛称であり、公募によって決定したものですが、令和3年に供用開始され、ごみ焼却施設は、処理能力1日215トン、燃焼設備はストーカ方式です。環境に配慮した施設として、公害防止基準順守、景観への配慮、環境教育等、また、資源循環に配慮した施設として、エネルギーの有効活用、灰の資源化、5R(リフューズ、リデュ―ス、リユース、リペアー、リサイクル)推進等の取り組みを行っています。視察当日は、施設概要についてのDVDを視聴し、その後、職員の案内の下、施設見学を行いました。
概要
東京都足立区
「就学前の子育て支援について」、「マイ保育園制度について」
足立区では、マイ保育園を設置し、実家のように気軽に立ち寄れる保育園を目指しており、登録すると子育て相談等を利用したり、各園の情報を取得することができます。マイ保育園とは、0歳から就学前のこどもを家庭で育てている方を対象に、公立保育園、こども園を身近な子育て支援の拠点として、子育てに対する負担感や不安感を少しでも軽減するため、登録したマイ保育園の保育士等による相談等を通じ、支援する制度です。視察当日は、制度の概要をはじめ、地域の子育て支援機関として取り組んでいる各種事業、保育コンシェルジュ(保育施設の紹介や預け先の提案、子育て相談や関係窓口への案内等を行う相談員)等について説明を受けました。