今回はマダニ感染症について、谷崎先生に聞いてみました!(「広報いせ」令和7年9月1日号掲載)
皆さんが疑問に思っている健康などに関する素朴な質問に対し、市立伊勢総合病院の谷崎医師がお答えします。さまざまな症状の患者さんに対応する「総合診療科」の観点から、分かりやすく「広報いせ」などでお答えしていきますので、皆さんの日常生活にぜひお役立てください。
マダニ感染症にご注意を!!
マダニが媒介する代表的な感染症に、日本紅斑熱と重症熱性血小板減少症候群(SFTS)があり、まとめてマダニ媒介感染症と呼ばれます。マダニは4月から10月の上半期に活発になるため、その時期に山間部や草むらに入ったり、農作業・庭仕事などをしたりする際に噛まれるリスクがあります。マダニは人間の皮膚に噛み付いたあと吸血するのですが、その際にマダニ内の病原体が人間の体内に入り、しばらくしてからマダニ媒介感染症が起こります。そして、マダニは皮膚に付着してすぐに吸血することもあれば、体温の高い体の中心部に移動してから吸血することもあります(実際に、本人は気づいていなくても腹部や陰部にマダニの刺し口がある人もいました)。
マダニに噛まれてしまったら・・・
もしマダニに噛まれた場合には、自分で引き抜くと頭部が皮膚に残って炎症を起こすことがありますので、まずは医療機関に相談しましょう(専用の除去具などがあります)。また、全てのマダニが病原体を持っている訳ではありませんので、マダニに噛まれてしまっても、通常は抗菌薬の予防内服は必要ありません。もし感染症を起こすとしたら、噛まれてから1週間前後で発熱・倦怠感・発疹などが出現しますので、その時点で医療機関に相談しましょう。
日本紅斑熱はその名の通り発熱や赤い発疹などの症状や、マダニの刺し口が特徴といわれますが、これらの症状が全て揃わないこともよくあります。一方で、SFTSでは発疹はあまり目立たず、下痢などの消化器症状を伴うことが多くなります。
日本紅斑熱は抗菌薬で治療できますが重症化することもあり、また、SFTSは現時点では有効な治療法は確立していませんので、これらの感染症に対しては、基本的には予防が非常に重要です。
マダニに噛まれないために
夏の時期は暑いとは思いますが、草むらなどに入る場合には可能な限り長袖・長ズボンを着用し、ダニ除けスプレーなども使って活動しましょう。また、一般に国内で販売されている虫除けスプレーがそのままダニ除けにも使えます。特に、ディート(DEET)またはイカリジンという成分が含まれているものを選ぶとよいでしょう(下表参照)。これらの成分は、蚊やマダニだけでなく、ブユ・アブ・ノミにも有効なのでとても便利です。
忌避剤の種類と特徴
持続時間 (濃度に比例) |
生後6か月未満 への使用 |
|
---|---|---|
ディート (DEET) |
|
× |
イカリジン |
|
○ |
健康に関する素朴な質問を募集中!
質問の応募方法
皆さんからの、日常生活で気になるちょっとした「健康に関する質問」を募集します。いただいた質問は、谷崎医師がピックアップ(選択)し、「広報いせ」などで随時お答えしていきます。
質問方法
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(〒516-8601 岩渕1丁目7-29、ファクス 22-9699)
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