【質問】HPVワクチンってどんな効果があるのでしょうか?(「広報いせ」令和7年12月1日号掲載)

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ページ番号1019799  更新日 令和7年12月19日

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皆さんが疑問に思っている健康などに関する素朴な質問に対し、市立伊勢総合病院の谷崎医師がお答えします。さまざまな症状の患者さんに対応する「総合診療科」の観点から、分かりやすく「広報いせ」などでお答えしていきますので、皆さんの日常生活にぜひお役立てください。

※「健康なんでも相談室」の掲載内容は、伊勢市役所広報紙「広報いせ」の掲載内容と同様の内容を掲載しています。つきましては、「広報いせ」掲載号より、1カ月程度前の情報を基に作成しておりますことを、あらかじめご理解いただき、ご覧・ご参考としていただきますよう、よろしくお願いいたします。

【回答】子宮頸がんで死亡する人が激減する効果が期待されています。

子宮頸がんの発生原因

HPV とはヒトパピローマウイルスの略語で、1983年頃からの研究で子宮頸がんの原因になることが発見されました。発見者のハラルド・ツア・ハウゼン医師には、2008年にノーベル生理学・医学賞が授与されています。実は、HPV には 200種類以上の型があり、その中でもハイリスク型と呼ばれるいくつかの型が子宮頸がんの発生と関連しています。HPV に感染してもすぐにがんが発生するわけではなく、体から排除されずに持続的に感染すると、異形成というがんの前段階を経て、がんが発生します(異形成の中でも、よりがんに近いものを前がん病変と呼びます)。2006年に HPV ワクチンが世界中で接種されるようになり、日本でも2009年から接種可能になりました。

ワクチン接種の高い効果

HPV ワクチン接種によって、そもそも HPV への感染を予防してくれるだけでなく、子宮頸がんの発生および前がん病変の発生が大きく減少することが科学的に示されています。例えばスウェーデンで17歳未満に HPV ワクチンを接種したところ子宮頸がん発生の割合が88% 低下したというデータ(1)や、スコットランドで12・13歳に HPV ワクチンを接種したところ、最もがんに近い前がん病変の発生割合が89% 低下したなど(2)、凄まじい効果が報告されています。日本人を対象とした研究でも HPV の感染自体を予防する効果は 80-90% と高い水準が報告されています(3)

医学は日進月歩

かつて日本では HPV ワクチン接種後に全身の痛みや運動障害など神経の異常が起きたため、ワクチンとの関連が否定されるまで積極的な定期接種勧奨が差し控えられた時期がありました。その後、HPV ワクチンを接種した人たちとしていない人たち約3万人のデータを比較した研究では、両群の間に症状の発生割合に有意な差は見られなかったことが確認できたため(4)、再び接種が勧奨されるようになりました。この接種の勧奨が控えられた影響で HPV ワクチンを定期接種できなかった人たちには条件付きで、キャッチアップ接種という制度が定められています。詳しくは厚生労働省や伊勢市のホームページをご確認ください。

(1)N Engl J Med 2020; 383: 1340-8.
(2)N Engl J Med 2020; 383: 1340-8.BMJ 2019; 365: l1161.
(3)子宮頸がんとその他のヒトパピローマウイルス(HPV) 関連がんの予防。ファクトシート2023. 

(4)Papillomavirus Res 2018; 5: 96-103.

健康に関する素朴な質問を募集中!

質問の応募方法

皆さんからの、日常生活で気になるちょっとした「健康に関する質問」を募集します。いただいた質問は、谷崎医師がピックアップ(選択)し、「広報いせ」などで随時お答えしていきます。

質問方法

質問内容とともに住所・氏名・電話番号を記入し、次のいずれかの方法で伊勢市役所広報広聴課へ質問をお送りください。

  1. 本ページ内の健康なんでも相談室質問受け付けフォーム
  2. 直接または郵送・ファクス
    (〒516-8601 岩渕1丁目7-29、ファクス 22-9699)
※質問者の住所・氏名・電話番号は掲載しません。(本取り組み以外には使用しません)
※質問内容・回答は、市のホームページ・SNS・ケーブル行政放送などの市広報媒体で掲載する場合があります。
※質問内容は、必ず「健康に関する質問」でお願いします。掲載に不適切であると思われる質問にはお答えできません。また、個人的な質問にはお答えしかねますので、あらかじめご承知おきいただきますよう、よろしくお願いいたします。
※いただきました全ての質問にお答えできませんので、あらかじめご了承ください。

健康なんでも相談室質問受け付けフォーム

本受け付けフォーム内において必須事項を記入し、「内容」欄に質問内容とともに住所・氏名・電話番号をご記入ください。

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このページに関するお問い合わせ

広報広聴課
〒516-8601
三重県伊勢市岩渕1丁目7番29号
本館2階
電話:0596-21-5515
ファクス:0596-22-9699
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