軽度認知症の方の買い物トラブル
ひとり暮らしの認知症の方のトラブルが増えています!
トラブル事例
- 新聞の訪問販売
新聞のセールスに頼まれ、断り切れずに契約 - 屋根工事の訪問販売
「このままでは雨漏りする。無料で点検する。」と訪問・点検後、割れた瓦の写真を見せられ、修理契約 - 分電盤の無料点検
電力会社を名乗って訪問・点検後、「このままでは火事になる」と言われ、分電盤交換工事の契約 - 太陽光発電装置やエコキュートの訪問販売
「電気代が安くなる」と勧誘され、長期ローンで契約 - 「電話代が安くなる」という電話勧誘
- 「電話代が安くなる」と勧誘され、必要のないインターネット回線契約
- 不必要な生活サポート契約のオプションが付いている、電話回線のアナログ戻しの契約
- 高額な寝具、健康食品、磁気治療器などの購入(SF商法)
- 友人に誘われて講演会などに行き、雰囲気にのまれて高額商品を衝動買い
- 100円のパンやたまごにつられて会場に行き、高額な磁気治療器具の契約
- カタログショッピングやテレビショッピングで大量に購入
- 化粧品やサプリメントを買っても開封せずに置いてある
- お得だと勧誘され、定期購入契約
- 店で同じ商品を何度も買ってくる(消費期限・賞味期限の管理ができない)
認知症の方の「買い物トラブル」への対策
頭ごなしに叱らないで!!
頭ごなしに叱ることで自信を失い、認知症の症状を進行させてしまうなど、悪い影響を及ぼす可能性もあります。
買い物トラブルにあわないために
- 固定電話は常時留守電にしておき、相手を確認してから出るようにする
- 知らない番号からの電話には出ないようにする
- 訪問者にはインターホンで対応し、玄関を開けないようにする
- 『訪問販売お断り』ステッカーを貼っておく
「勧誘が減った」「勧誘を断りやすくなった」など、一定の効果があります - デイサービスを利用するなど、家にひとりでいる時間を減らす
- 買い物に行く時はできるだけ付き添う(付き添いサービスを利用する)
- 買い物に行く前に「買うものリスト」または「買わなくていいものリスト」を作っておく
- よく行く店が決まっている場合は、店に事情を説明し、声掛けしてもらう
「支払い忘れ」を万引きと誤解されるトラブルも回避できます - 通信販売は購入のきっかけを排除する(送付されるカタログやダイレクトメールを止める)
- クーリング・オフ期間内に気付けるように、1週間に1度は様子を見に行く
- 本人に気付かれないように、消費期限切れの食品を処分する
認知症の家族の金銭管理
一方的な金銭管理は本人の自尊心を傷つけてしまいます。まずは家族が管理をする前に、本人が安全にお金を使える工夫や、できる限りの対策をしましょう。
- 口座を分けてお金を管理する
普段使い用や貯蓄用など複数の口座に分散して管理をしておくと、多くの金額を使い込んでしまうことを防げます.。 - キャッシュカードを作らない
頻繁にお金を引き出してしまう場合、キャッシュカードではなく窓口でお金を下ろすようにしておくという方法もあります。「社会的に特殊詐欺が問題になっているので、用心として行う」ということを説明し、本人に納得してもらいましょう。
いつも同じ金融機関を利用している場合、「手続きに来たら家族に連絡して欲しい」とお願いしてみましょう。 - クレジットカードは解約する
- お金をチャージして使う、プリペイドカードを利用する
- 家族への相談を約束する
「◯◯円以上の買い物は家族に相談する」など、本人と約束をしておくことも効果的です。忘れないよう、大きな字で書いたメモをわかりやすい場所に貼っておくと良いでしょう。
買い物トラブルにあってしまったら
電話勧誘販売や訪問販売はクーリング・オフ制度を使う
訪問販売や電話勧誘販売の場合、契約書面を受け取った日を1日目と数え、8日以内であれば無条件で契約を解除できます。
※実際の店舗や通信販売で商品を購入した場合は、クーリング・オフ制度の適用対象外です。
クーリング・オフ制度は契約を解除できる期間が決まっているため、契約したことになるべく早く気がつくことが重要です。
テレビショッピングやカタログ販売、インターネット通販などの通信販売
通信販売の場合、返品の可否は特約の有無によって変わります。返品特約の記載がない場合は、商品到着から8日以内であれば送料を負担した上で返品ができます。
※返品する場合は、返品前に必ず事業者に連絡し、返送先・返金方法を確認してください。
「返品はご遠慮ください」などの記載がある場合、基本的に返品はできません。
利用規約で「商品到着から8日以内に連絡があった場合、未開封商品の返品を受け付ける」などとなっている事業者もあります。カタログやホームページの表示を確認してみましょう。
契約が定期購入になっている場合もあります。販売店に事情を説明して解約手続きし、未開封商品の返品が可能か問い合わせましょう。
事業者に連絡した際、本人から注文の電話が来ても受け付けしないようにできないか、相談してみましょう。
成年後見制度を活用する
成年後見制度は、認知症をはじめ精神障害や知的障害が原因で判断能力が不十分な人に代わり、選任された後見人が契約や財産管理などを行う、本人の保護を目的とした制度です。
後見人は、本人が悪質業者にだまされて、必要のないものを買わされるなどのトラブルに巻き込まれた場合に、その契約を取り消すことができます。
※日常生活の買い物など、日常生活に関する行為については取り消しできません。
消費生活センターからのアドバイス
軽度認知症の方がしてしまった契約を、解約することは非常に困難です。
販売員と普通に会話して契約していても、後から契約したことを覚えていない場合もあります。
(免許返納後に中古車の契約をし、支払いでトラブルになった事例もありました。)
軽度認知症の方がした契約は、無効にはなりません。
契約成立後に解約する場合
クーリング・オフできる契約は、クーリング・オフ期間内であれば無条件解約できますが、それ以外の場合は、基本的に、事業者と話し合い、契約書に記載された違約金などを支払って解約することになります。
トラブルになる前に、対策しておきましょう
買い物することを無理に止めさせれば、本人にとって大きなストレスになります。
何から何まで代わりにやってあげるのではなく、本人の意思を尊重し、本当に必要なときだけさりげなく手助けをする姿勢が大切です。
最近、「子どもが離れて暮らしている」「近くに頼れる身寄りがいない」という方からの相談が増えています。
ひとりで悩まず、相談してください。
トラブルになってしまった場合は、できるだけ早く相談してください。
より良いホームページにするために、ページのご感想をお聞かせください。
このページに関するお問い合わせ
伊勢市消費生活センター(商工労政課内)
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