【質問】5歳から11歳の子どもの新型コロナワクチン接種について、副反応は大人と比べて違いはあるのでしょうか？（「広報いせ」令和4年5月1日（5月合併）号掲載）

皆さんが疑問に思っている健康などに関する素朴な質問に対し、市立伊勢総合病院の谷崎医師がお答えします。さまざまな症状の患者さんに対応する「総合診療科」の観点から、分かりやすく「広報いせ」などでお答えしていきますので、皆さんの日常生活にぜひお役立てください。

【回答】副反応全体で大人よりも頻度が低いとされています。

子どもへのワクチン接種の目的

5歳から11歳の子どもへの新型コロナワクチン接種が進んでいます。大人と比べて、子どもは新型コロナウイルス（以下、新型コロナ）に感染してもほとんど重症化しないことが分かっているため、ワクチン接種の目的は「重症化しないこと」よりも「周囲に感染を広げないこと」の方に重きが置かれます。「周囲」というのは学校の友達とかではなく、新型コロナに感染すると重症化するリスクのある人（高齢・肥満・喫煙、糖尿病・心臓病・喘息(などの基礎疾患のある人）のことです。
「うちの子は、かぜ症状がある時はおじいちゃんに会わないようにしているから大丈夫！」と考えるかもしれませんが、新型コロナは感染しても無症状のことがありますし、しかも無症状でも他者への感染力があるので、症状の有無で安全かどうか判断することはできません。よって、家族の中で重症化リスクに当てはまる人がいる時点で、子どもがワクチン接種する意義は大いにあるといえます。
もちろん、何らかの基礎疾患のある子どもの場合は、自分自身を守るという観点でも接種が勧められます。また、子どもでも新型コロナに感染後の後遺症を起こす可能性があるので、基礎疾患の有無に関わらず後遺症予防の観点でワクチン接種のメリットはあると考えられます。

子どもにおける効果と副反応

ワクチンの有効性については、デルタ株に対しては90% 以上の感染予防効果があることが分かっています。なお、オミクロン株やその他の変異株に対しては、これからデータが発表されてくる見込みです。また、大人と同様に重症化予防効果もしばらく保たれるようです。副反応については、米国での研究があり、ほとんどが大人より軽く、出たとしても1・2日間程度でおさまるとされています。
新型コロナワクチンの稀()な副反応として心筋炎・心膜炎がありますが、主に10代男性で多く認められるものであり、5歳から11歳で起こるという証拠は現時点では揃っていません。

子どもへのワクチン接種の考え方

子どもがワクチンを接種するメリットは説明した通りですが、そもそも重症化する確率が稀すぎるがゆえに、ワクチンの稀な副反応が起こる確率と同じくらいになってしまうのでは、という考え方もあります。最終的には子ども自身と保護者の皆さんの考え方次第ですが、メリットとリスクを天秤にかけ、メリットの方が上回ると考えるのであれば接種する、という考え方で良いのではないかと思います。

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質問の応募方法

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