【質問】新型コロナワクチンの3回目接種について、どのような効果が期待できますか?(「広報いせ」令和3年12月1日号掲載)
皆さんが疑問に思っている健康などに関する素朴な質問に対し、市立伊勢総合病院の谷崎医師がお答えします。さまざまな症状の患者さんに対応する「総合診療科」の観点から、分かりやすく「広報いせ」などでお答えしていきますので、皆さんの日常生活にぜひお役立てください。
【回答】特に感染予防効果を期待して接種します。
海外のワクチン接種率との比較
伊勢市内の新型コロナワクチンの2回目の接種率は、令和3年10月20日時点で82.8% に達しています。日本全体の2回目の接種率が同時期に67%であり、アメリカの56%、イギリスの66% などと比べても高い水準となっています。(この時点で世界で最も接種率が高かったのは、ポルトガルの86%です)
ワクチン接種による効果
新型コロナワクチンの効果を議論する際には、「感染自体を予防する効果」と「感染しても重症化を予防する効果」の大きく2つに分けて考えます。1回のみの接種ではいずれの予防効果も低いのですが、2回接種した2週間後には、感染予防効果と重症化予防効果はともに90%以上と、高い予防効果が期待できます(ファイザー社・モデルナ社のデータ)。
この効果がいつまで続くのかについてはしばらく不明でしたが、最近の研究では、接種から半年程度で感染予防効果が落ちることが分かっています。ただし、それでも重症化予防効果はほとんど落ちていないことも分かっていますので、過度に心配する必要はありません。
すでに3回目を接種している国々からの報告では、3回目を接種することで感染予防効果も重症化予防効果も跳ね上がることが分かっていますが、もともと重症化予防効果はある程度保たれていますので、3回目を接種する主な目的は、「感染予防効果」をさらに高めるためと言えます。
医療従事者としての3回目接種への思い
特に私たち医療従事者など、もし自分が感染すると体の弱った患者さんに感染させてしまうリスクのある職種では、周りの人への影響を考えて3回目の接種を検討する意義があるかと思います。一方で、この3回目接種がいつまで感染予防効果を維持できるかはまだ分かっていません。
また、2回目接種と3回目接種の副反応は同程度だったと報告されており、2回目の副反応が非常に強く出た人の中には、3回目の接種を躊躇したくなる人もいるかもしれません。
日本でも医療従事者を中心に3回目の接種が始まります。B 型肝炎ワクチンなど他のワクチンでは、3回接種で数年~生涯予防効果が保たれるものも多いので、個人的には新型コロナワクチンも同様に長期間効果が持続してほしいと願っています。
健康に関する素朴な質問を募集中!
質問の応募方法
皆さんからの、日常生活で気になるちょっとした「健康に関する質問」を募集します。いただいた質問は、谷崎医師がピックアップ(選択)し、「広報いせ」などで随時お答えしていきます。
募集期限
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