【質問】内臓脂肪を減らす市販薬を飲み続けると体重も減るのでしょうか?(「広報いせ」令和6年3月1日号掲載)
皆さんが疑問に思っている健康などに関する素朴な質問に対し、市立伊勢総合病院の谷崎医師がお答えします。さまざまな症状の患者さんに対応する「総合診療科」の観点から、分かりやすく「広報いせ」などでお答えしていきますので、皆さんの日常生活にぜひお役立てください。
【回答】減るかもしれませんが、食事・運動療法との併用が必須です。
肥満は現代人の課題
古来から、食糧の安定供給は人類にとって最優先事項でした。飢餓状態で低血糖になれば命に関わるため、私たちの体には、とにかく低血糖にならないように血糖値を上げるためのホルモンが数多く備わっています。そう、人類は常に低血糖と闘ってきたのです。
ところが現代では、一部の途上国を除いて、特に先進国では食糧不足に悩まされることはほとんどありません。むしろ、過食(食べ過ぎ)によるさまざまな健康障害が社会問題化しています。中でも肥満は、高血圧、糖尿病、痛風、心筋梗塞、脳梗塞、脂肪肝、腎臓病、睡眠時無呼吸など、さまざまな健康障害を引き起こすと言われており、肥満解消は現代人にとって喫緊の課題と言えるでしょう。
療肥満を解消するために
肥満の解消・・・言うのは簡単ですが実際に行うのは難しく、食べ過ぎずに運動すれば痩せることは分かっていても、何か他にもっと楽な方法がないのかと考えてしまうのが人間ですよね。肥満かどうかの指標にはBMI(※1)という指標を使いますが、例えば、肥満解消に効果があるとされる漢方薬の防風通聖散は、さまざまな研究で肥満患者のBMIを有意に低下させる効果が示されています。ただし、その研究で効果があったとされた人たちは、防風通聖散だけでなく食事療法と運動療法も併用していたので、薬だけ飲めば痩せた、というわけではなさそうです。
近年、GLP-1作動薬という糖尿病治療薬が「肥満解消に効果がある」と多くの人の関心を集めました。ただし、そのあまりの関心の高さから、自由診療の美容クリニックなどで「痩せ薬」として GLP-1作動薬が多数処方された結果、糖尿病で困っている人に行き届かないという事態も招きました(過去に私も、糖尿病の患者さんにGLP-1 作動薬を処方しようとしたら流通制限がかかっていると言われたことがあります)。また、GLP-1作動薬には吐き気や食欲不振、下痢、便秘、急性膵炎など、さまざまな消化器症状の副作用があるので、100% 安全に痩せられるわけではありません。
(※1)BMI=Body Mass Indexの略。体重(kg)÷身長(m)の2乗で計算する。日本肥満学会では BMI 18.5~25未満が普通体重とされる。
基本は食事療法と運動療法
ということで、いろいろ試してもらうこと自体は良いと思いますが、「これだけ飲めば痩せられる!」というものは現時点では存在せず、やはり基本に立ち返って、食事療法と運動療法を続けることが重要なのですね。
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