【質問】テレビのコマーシャルなどで見かけるグルコサミンなどのサプリメントの効果を医師に尋ねたら意味がないとの回答でしたが、谷崎先生はどのように考えますか?(「広報いせ」令和5年1月1日号掲載)
皆さんが疑問に思っている健康などに関する素朴な質問に対し、市立伊勢総合病院の谷崎医師がお答えします。さまざまな症状の患者さんに対応する「総合診療科」の観点から、分かりやすく「広報いせ」などでお答えしていきますので、皆さんの日常生活にぜひお役立てください。
【回答】グルコサミンのサプリメントについては、現時点では飲み続けることによる明らかなメリットは医学的には証明されていません。
「効果がある」とは「メリットがある」と同じ意味
いやぁ、いいですね、本来このコーナーは「なんでも」相談室だったのですが、始まってすぐに新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)が流行したため、投稿いただいた質問がほとんど「コロナ」という状態が続いていました。コロナ以外のこのような内容の質問は久しぶりで、なんだか、世の中が日常を取り戻しつつあるようで、うれしいです。
さて、私たち医師が考える「効く」とは、皆さんにとって「メリットがある」と同意です。例えば、Aという薬を飲んで、痛みが減る、寿命が延びる、脳梗塞や心筋梗塞などの重大な病気を防ぐ、といった効果は、間違いなく皆さんメリットを感じるでしょう。一方で、コレステロール値は下がるけど重大な病気は防げない薬や、痛みは減るけどその効果が非常に小さい薬などは、あまりメリットを感じないのではないでしょうか。
コロナで例えると、1日早く症状を改善させる効果のある薬があったとしても、「自宅療養期間は変わらず、重症化リスクを減らさず、他の薬との飲み合わせも悪い」といった内容であれば、あえてその薬を飲むメリットは感じにくいですよね。
最終的には個人の価値観
もう一つ、世の中には「プラセボ効果」というものもあります。「自分は特別に薬を飲んでいる」と思うと自身の自然治癒力が向上し、その薬が本来持つ力以上の効果を自覚することがあります。逆に、薬自体や処方した医師に不信感などがあると薬の効果が落ちてしまうことがあり、これを「ノセボ効果」と呼びます。
前置きが長くなりましたが、グルコサミンは多数の小規模な研究がなされているものの、大規模な多施設での研究はほとんどなく、関節の痛みや腫れが改善したという報告もあれば、効果はなかったという報告もあり、現時点では飲み続けることによる明らかなメリットは医学的には証明されていません。個人的には、プラセボ効果もあるとは思いますが、本人が「効いた!」と感じており、特に副作用や経済的な負担がないのであれば、飲み続けるかどうかは個人の価値観に委ねています。
最後に注意してもらいたいのは、グルコサミンとワルファリンという薬を同時に飲むことで出血しやすくなったという報告もあるので、やはり自分が飲んでいるサプリメントなどは主治医に伝えることが大切です。
健康に関する素朴な質問を募集中!
質問の応募方法
皆さんからの、日常生活で気になるちょっとした「健康に関する質問」を募集します。いただいた質問は、谷崎医師がピックアップ(選択)し、「広報いせ」などで随時お答えしていきます。
募集期限
当面の間(新型コロナウイルスの感染が収束するまで)
質問方法
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