高齢者の財産管理(終活の話)

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ページ番号1014491  更新日 令和6年4月10日

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高齢者の財産管理方法

高齢者が自分で管理する場合

1.日常生活自立支援事業

判断能力に不安のある認知症高齢者、知的障がい者、精神障がい者などが、地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助等を行う。

実施主体:伊勢市社会福祉協議会(伊勢日常生活自立支援センター)

援助の内容:福祉サービス利用援助・日常的金銭管理サービス・書類等預かりサービス

日常生活自立支援事業のメリット
  • 見守りとしての役割がある。
  • 比較的料金が安い。
日常生活自立支援事業のデメリット
  • 契約内容を理解できる程度の判断能力が必要。
  • 地域によってサービス内容に格差も。

2.身元保証サービス

病院への入院や、老人ホームへの入居の際に、身元保証を引き受けるサービス。葬儀・死後事務支援や生活支援を付加する事業者もある。

実施主体:民間団体(NPO団体含む)

サービス内容:事業者によってさまざま

契約時の注意点
  • 法律で明確な基準が定まっていない。
  • 費用やサービス内容が業者によってまちまち。
  • 判断能力低下への対応が難しい(法律行為の代理ができない)。
  • 高額の保証料を支払った後事業者が倒産し、返金されないトラブルも(日本ライフ協会の出資法違反事件)。
契約する前に、契約書の内容(サービス内容や必要な費用、解約時の規約など)をよく確認しましょう!

3.ホームロイヤーサービス

弁護士会の一部が実施している見守り契約を中心としたサービス。見守り+財産管理(任意後見)など、本人の判断力の低下に合わせて対応。

実施主体:弁護士会、弁護士

契約時の注意点
  • 実施地域が少ない。
  • 審査に弁護士会が関与していない場合、判断能力低下の判断が個々の弁護士にゆだねられる。

4.任意後見制度

本人に十分な判断能力があるうちに、将来判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ代理人(任意後見人)を選んでおき、財産管理等について代理権を与える内容の契約(任意後見契約)を締結しておく制度。

実施主体:任意後見人

任意後見制度の特徴
  • 原則として、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から契約の効力が発生。
    (本人や配偶者、任意後見受任者などが家庭裁判所に、任意後見監督人選任の申し立てを行う)
  • 公正証書によって契約(契約時に判断能力があるのが前提)。
  • 本人は、単独で有効に法律行為ができる。
  • 法定後見よりも、任意後見が原則として優先される。
任意後見制度のメリット
  • 本人が自由に任意後見人を選ぶことができる。
  • 契約内容が登記されるので、任意後見人の地位が公的に証明される。
  • 家庭裁判所で任意後見監督人が選出され、任意後見人の仕事を監督する。
  • 契約によって、後見の内容を自由に決めることができる(根拠:任意後見契約に関する法律)。
任意後見制度のデメリット
  • 死後の処理は委任できない(「死後事務委任契約」を別途結べば対応可能)。
  • 法定後見制度のような取消権がない。
成年後見制度には、大きく分けて「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類があります。
「法定後見制度」は、本人の判断能力が低下してきたことにより、契約や財産管理に不安や不都合が出てきた場合に、本人や親族が裁判所に申し立てることによって始まります。本人の判断能力が低下してからでなければ利用することはできません。
「任意後見制度」は、将来の判断能力が低下した場合に備え、誰を後見人にし、その後見人にどういったこと(法律行為等)を任せるかなどを予め決めて、任意後見契約を、本人と本人が選んだ将来後見人になる人(任意後見受任者)が結ぶことによって始まります。任意後見契約は契約なので、法定後見とは違い、判断能力が低下してからでは、基本的には利用することが出来ません。

5.民事信託(家族信託)制度

財産管理と財産継承のための制度。判断能力が落ちてきたので、子どもに財産の管理をしてほしい場合などに利用。

実施主体:受託者(委託者が自由に選べる)

信託のメリット
  • 二次相続対策ができる。
    遺言で「自分が死んだら自宅を妻に相続させる。妻が死んだら自宅を次男に相続させる」という内容とした場合、後半部分は無効になるが、民事信託では有効。
  • 柔軟な財産管理ができる。
信託のデメリット
  • 信託報酬が高額になる場合がある。
  • 基本的に監督機能はない→ 信託財産の定め方によっては、受託者が財産を自由に運用・処分してしまう場合がある(任意で信託監督人を設定することは可能)。
  • 信託の設定は専門性が高く、信託契約の内容を誤ると、契約が無効になったり、委託者に不測の損害が生じるリスクがある(弁護士や司法書士に要相談)。
  • 身上保護(福祉サービスの契約や施設入退所の契約手続きなど)の機能がないので、本人の判断能力の低下の状況に対応できないケースもある。

高齢者が自分で管理することが難しい場合

法定後見制度

後見

精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害など)により、判断能力が欠けているのが通常の状態にある方を保護・支援する制度。

後見人の役割
  • 被後見人の身上監護(生活、治療、療養、介護など)、財産に関する法律行為を行う。
  • 本人がした不利益な法律行為を後から取り消すことができる。
保佐

精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害など)により、判断能力が著しく不十分な方を保護・支援する制度。

保佐人の役割
  • 法律で定められた一定の行為(お金を借りたり、保証人となったり、不動産を売買するなど)について同意する。
  • 保佐人の同意を得ないでした、本人に重要な影響が出る行為については、本人または保佐人が取り消すことができる。

※家庭裁判所の審判によって、保佐人の同意権・取消権の範囲を広げたり、特定の法律行為について保佐人に代理権を与えることもできる(保佐人に代理権を与える為には、本人の同意が必要)

補助

軽度の精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害など)により、判断能力の不十分な方を保護・支援する制度。

補助人の役割
  • 家庭裁判所の審判によって定めた特定の法律行為について、同意したり、代わりに行ったりする。
  • 家庭裁判所の審判によって定めた特定の法律行為について、補助人の同意を得ないで行った場合、本人または補助人が取り消すことができる。

※補助人に同意権や代理権を与えるためには、同意権や代理権による保護が必要な行為の範囲を特定し、本人自らが申し立てるか、本人が同意している必要がある。

法定後見制度のメリット

  • 契約の取り消し権がある
    本人が行った日用品(食料品や衣料品など)の購入、その他の『日常生活に関する行為』については、契約を取り消すことはできない。
  • 身近な人等による財産の使い込みや経済的な破綻を予防できる。
  • 介護などのサービスや施設への入所に関する契約等の生活に必要な契約を代理しておこなってもらえる。

法定後見制度のデメリット

  • 多くの書類を準備しなければならないため、申立するまでに時間と費用の負担がかかる。
  • 一旦制度を開始すると、本人や親族の都合のみでは制度利用を止めることはできない。
    (ほとんどのケースでは、本人が死亡するまで続く)
  • 後見人は自由に選べない。
    (弁護士や司法書士などの法律の専門職が就任すると報酬が発生する。報酬額は家庭裁判所が決める)
  • 家族が後見人となった場合、無報酬で事務負担をかけてしまう。
  • 家族が後見人になった場合、後見監督人が選任される可能性がある(後見監督人の報酬が発生する)。
  • 本人のためだけにしか財産を使えなくなる(家庭裁判所の監視が入る)。
食事を作る、掃除をする、買い物に行く、話し相手になる、介護をする、手術をする・しないを決める、などの行為は、成年後見人にはお願いできません。

相続のこと

相続税対策は必要?

相続税の課税対象者は意外と少ない

相続税の基礎控除額は、3000万円+600万円×相続人の人数

2020年の相続税課税対象者は、死亡者の8.8%

遺産相続でのトラブルは、均等に分割できない不動産などの『モノの分割』でもめるケースが多い。

意思の託し方

  •  死後事務委任契約(公正証書で作成)
  •  遺言書(エンディングノート)

遺言書のメリット

  1. 遺産分割に関する紛争の防止。
  2. 自分の意志で財産を処分できる。
  3. 相続の手続きが簡素化できる(遺産分割協議書が不要)。
遺言書の種類
  メリット デメリット
自筆証書遺言(エンディングノート) 費用がかからない

偽造・隠ぺい・紛失の可能性がある

検認(注1)の必要性がある

(自筆証書遺言書保管制度を利用して法務局に預けることでリスク回避可能。法務局に預ける場合は定型の様式あり。)

公正証書遺言

検認(注1)の必要性がない

偽造・隠ぺい・紛失の可能性がない

公証人役場での手続きが必要

2人以上の証人が必要

公証人と証人に遺言書の内容を知られる

秘密証書遺言

公証人と証人に遺言書の存在を知られるが、内容は秘密にできる

偽造の可能性はない

公証人役場での手続きが必要

2人以上の証人が必要

隠ぺい・紛失の可能性がある

検認(注1)の必要性がある

(注1)「検認」とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続き。遺言書の保管者又はこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出し、その「検認」を請求しなければならない。(最高裁判所ホームページより抜粋)

自筆証書遺言書保管制度(法務局)

  • 書遺言保管の申請費用は、3900円(2022年9月現在)
  • 遺言書は全文自書し押印する必要があるが、財産目録はパソコンでの作成や通帳のコピーでも可能
  • 家庭裁判所による検認が不要になる
  • 遺言者が死亡時の通知を希望している場合、死亡届の提出が確認されると、遺言書保管所から遺言者が指定した方へ通知が届く

公正証書遺言費用

  • 公証人手数料
    財産が500万円から1000万円以下の場合、17000円
    財産が1000万円から3000万円以下の場合、23000円
  • 証明書交付手数料(印鑑登録証明書、戸籍謄本、不動産登記事項証明書など)
  • 証人の紹介を依頼する場合は、証人手数料(6000円程度)

終活のポイント

  • 死後に関する自分の意思を表明しておく。
  • 意思を託す人、執行する人を見つけておく。
  • 遺族が解約などの手続きをスムーズにできるように準備しておく。
    • デジタル遺品リストを作成しておく。
      デジタル遺産(パソコンやスマートフォン内に残されたデータ)の処分、インターネット銀行やインターネット証券に預けてある資産、契約中のサブスクリプション契約(有料会員契約)などの解約手続きの為、スマートフォンやパソコンのロックの解除方法、利用しているサービス名・ID・パスワードを記載したノートなどを用意しておく。
    • 利用中のサービスなどの契約書を、わかりやすいようにまとめておく。
      ひとり暮らしをしている場合は、アパートの賃貸契約、インターネット回線契約、電気・ガス・水道の契約、固定電話の契約などの『生活に必要な契約』についても、遺族がどこに連絡したら良いかわかるように準備しておく。

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