契約トラブルから身を守るために、知っておきたい『消費者契約法』

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ページ番号1015661  更新日 令和5年7月11日

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消費者契約法は消費者を守るための法律です。

消費者契約法が定める3つの事項

  1. 不当な勧誘により締結してしまった契約は、後から「取消し」できます。
  2. 消費者の利益を不当に害する契約条項は、「無効」となります。
  3. 事業者に対する「努力義務」を定めています。

契約を「取消し」できるのはどんなケース?

事業者の行為によって消費者が誤認した状態で契約

1.重要事項について事実と異なる説明があった場合(不実告知)

(例)事業者が「タイヤの溝が大きくすり減っていて危険」などと言って消費者の不安をあおり、実際は危険なほどすり減ってはいないのに、新しいタイヤを販売した。

2.不確実な事項について「確実」と説明された場合(断定的判断の提供)

(例)将来、確実に値上がりするとは限らない金融商品を、事業者が「確実に値上がりする」「必ず儲かる」などと説明して消費者に販売した。

3.消費者に不利な情報を告げなかった場合(不利益事実の不告知)

(例)事業者が、隣の土地に眺めや陽当たりを阻害するマンションの建設計画があることを知りながら、それを消費者に説明せずに住宅を販売した。

事業者の行為で消費者が困惑した状態で契約

4.事業者が消費者の自宅や勤務先などに強引に居座った場合(不退去)

(例)消費者の自宅を訪れて勧誘する事業者に、「もうお引き取りください」と言っても「契約してくれるまで帰らない」などと居座り、強引に契約させた。

5.販売店などで消費者が強引に引き留められた場合(退去妨害)

(例)事業者の販売店や事務所などで勧誘された消費者が、「契約しませんのでもう帰ります」と言っても、「まだ説明が終わっていない」などと強く引き留め、契約させた。

6.勧誘することを告げずに退去困難な場所へ同行し勧誘した場合

(例)事業者が「景色を見に行こう」などと言って、消費者を交通の便の悪い山奥に連れ出し、自力では帰宅困難な状況で勧誘し、契約させた。

7.威迫する言動を交え相談の連絡を妨害した場合

(例)消費者が「契約するかどうか親に相談したい」と事業者に言ったものの、「もう成人だから自分で決めないとだめだ」などと威迫する言動を交えて勧誘し、契約させた。

8.就職セミナー商法など(不安をあおる告知)

(例)事業者が就職活動中の消費者に対し、「このままでは一生成功しない、この就職セミナーが必要」と不安をあおるような勧誘により契約させた。

9.デート商法など(好意の感情の不当な利用)

(例)異性の勧誘者に好意を抱いた消費者に対し、「この商品を買ってくれないと関係を続けられない」などと告げて契約させた。

10.高齢者などが不安をあおられる(判断力の低下の不当な利用)

(例)加齢や心身の故障により判断力が低下した消費者に対し、「投資用マンションを買わなければ今のような生活を送ることは困難」などと不安をあおるような勧誘により契約させた。

11.霊感などによる知見を用いた告知

(例)事業者が消費者に対し、「あなたの病気は悪霊のせい。この数珠じゅずを買わないと悪霊を除去できない」などと不安をあおるような勧誘により契約させた。

12.契約前なのに強引に損失補償を請求されるなど(契約締結前に債務の内容を実施など)

(例)他県から勧誘に来た事業者に対し、消費者が断ろうとしたところ「断るなら交通費を支払え」と請求された。

過量な内容の契約

13.分量や回数などが多過ぎる場合(過量契約)

(例)あまり外出せず、着物を着る機会の少ない高齢の消費者に対し、事業者がそのことを知りながら、何十着もの着物を勧誘し、契約させた。


取消権を行使できる期間は?

  • 消費者が誤認に気付いたり、勧誘による困惑を脱したりするなど、取消しの原因となっていた状況が消滅したとき(=追認できるとき)から1年間(「霊感などによる知見を用いた告知」の場合は3年間)
  • 契約の締結から5年間(「霊感などによる知見を用いた告知」の場合は10年間)

※例えば、事業者が「契約するまで帰らない」と居座って強引に契約させられた場合、契約して事業者が帰った時(契約日)から1年間取消権を行使しなければ、取消権は時効により消滅します。
契約に関する重大な事項について、事業者が嘘を言っていたことに気付いた場合、気付いた時から1年間は取消権が行使できますが、契約の締結から5年間を超えてしまうと取消権は行使できなくなります。


契約を「取消し」するとどうなるの?

取り消された消費者契約は、当初に遡って無効となります。この場合、事業者と消費者は原則として、相手方から受け取った商品や料金などを互いに返還しなければなりません(送料等は返還者が負担することになります。)。

ただし消費者は、事業者から給付を受けた当時、契約締結の意思表示を取り消せることを知らなかった場合には、消費者は手元にある原物を返還すればよい(現存利益の返還)とされています。

※例えば、1箱1万円のサプリメントを5箱購入し、2箱分を消費したところで事業者の不実告知に気付き、それを理由に取消権を行使した場合には、原則として手元にある3箱を返還すればよいこととなります。ただし、転売をしたことなどにより、消費者に利得が残っている場合は、その利得(転売価格相当額等)も返還することになります。


「無効」となる不当な契約条項とは?

消費者の利益を不当に害する契約内容については、契約書に記載されていても効力を持ちません。

1.事業者に責任があっても「損害賠償責任はない」とする条項

(例)「当ジムは、会員の施設利用に際して生じた傷害や盗難など、いかなる事故についても一切責任を負いません」など、損害賠償責任を全て免除する条項。

2.免責の範囲が不明確な条項

(例)「当社は『法律上許される限り』1万円を限度として損害賠償責任を負う」など、免責の範囲が不明確な条項。
事業者に故意・重過失がある場合には全額を賠償されるはずが、『法律上許される限り』の記載により、消費者は本来の賠償が受けられないと誤認してしまう可能性があります。上記の条項の場合、軽過失の場合にのみ適用されることを明らかにしていないと無効となります。

3.「一切のキャンセルや返品・交換などを認めない」とする条項

(例)「販売した商品については、いかなる理由があってもキャンセル・返品、返金、交換は一切できません」などとする条項。

4.成年後見制度を利用すると契約が解除されてしまう条項

(例)アパートなどの賃貸借契約において「賃借人(消費者)が成年後見開始の審判を受けた時は、賃貸人(事業者)は直ちに本契約を解除できる」などとする条項。

5.消費者が負うキャンセル料や遅延損害金が高過ぎる条項

(例1)結婚式場などの契約において、「契約後にキャンセルする場合の解約料は、予定日の一年以上前でも契約金額の80%」とする条項。
※解除に伴う平均的損害を超える部分については無効となります。
(例2)「家賃の支払期限を過ぎた場合、1か月の家賃に対し年30%の遅延損害金を支払う」など、遅延損害金が年利14.6%を超える条項。
※遅延損害金につき年利14.6%を超える部分については無効となります。

6.消費者が一方的に不利になる条項

(例)民法では、事業者に対し「商品の種類・品質が契約内容に適合していない場合、その事実を知ったときから1年以内に通知すること」が定められているにもかかわらず、正当な理由なく、この期間を不当に短くするような条項。
※任意規定の適用による場合に比べ、消費者の権利を制限し又は義務を加重する条項であって、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効となります。


事業者に求められる「努力義務」

消費者契約法では、契約トラブルから消費者を保護するため、事業者に対し、次のような情報提供や説明に努める必要があると定めています。

  • 契約条項を定めるに当たって、その解釈について疑義が生じない明確で平易なものになるよう配慮すること。
  • 勧誘に際し、契約内容について必要な情報を提供すること。
  • 消費者が定型約款(定型的な契約条項)の表示の請求をするために必要な情報を提供すること。
  • 消費者の求めに応じて契約を解除するために必要な情報を提供すること。
  • 消費者に解約料を請求する際に、消費者に求めに応じて算定根拠の概要を説明すること。
  • 適格消費者団体※からの要請対応に努める必要があること。

※消費者全体の利益擁護のために差止請求権を適切に行使することができる適格性を備えた消費者団体として、内閣総理大臣の認定を受けた法人

なお、一方で消費者に対しても、消費者契約を締結する際には、事業者から提供された情報を活用して、契約の内容を理解するよう求めています。

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